耐酸化ナノ銅粉 【開発品】
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スマートフォンや電気自動車、光通信機器、医療機器、その他IoT機器に至るまで、あらゆる電子デバイスが高性能化・多機能化している昨今。テクノロジーの発達が社会をより便利にする一方で、製品の開発現場では新たな課題も。単一の技術、単一の素材だけでは最適解を出すことが難しくなり、多くの開発担当者が頭を悩ませているようです。
現在求められているのは、素材と技術を高次元で融合した、まったく新しい選択肢です。そこで、導電材料などを開発する住友金属鉱山と、独自技術で特徴あるプリント基板を製造する伸光製作所は、多様なニーズを満たす新しい製品を提供するための“共創”を開始。これまでにない高い付加価値を持つ、革新的な基板の開発を進めています。
その取り組みの一端が、2026年1月21日から23日まで東京ビッグサイトで行われた「第40回 ネプコンジャパン」にて紹介されました。さまざまなメーカーの開発担当者から関心が寄せられた当日の模様を振り返りながら、“共創”の現在地と可能性に迫ります。
「ネプコンジャパン」とは、電子部品、半導体、パワーデバイスなどの大規模展示会。エレクトロニクス関連としてはアジア最大級であり、世界最先端の技術が集まる場として、さまざまなメーカーで製品開発に携わる技術者たちが、開発のヒントやアイデアの種、あるいは新たな選択肢を求めて足を運びます。
2026年1月21日から23日まで東京ビッグサイトで行われた「第40回 ネプコンジャパン」には、3日間合計で約7万8000人が来場(速報値)。住友金属鉱山と伸光製作所による共同ブースにも高い関心が寄せられ、常に人の輪がありました。
「人々の生活を豊かにする高性能な半導体や電子デバイスなどの需要は、日に日に高まっています。しかし、技術が飛躍的に進化する一方で、それを実現する『素材』の供給が追いついていない現状があり、パワー半導体、光デバイス、電気自動車(EV)、IoT、医療機器などを開発する多くのメーカーさんが課題に感じていらっしゃるのではないでしょうか」
こう語るのは、住友金属鉱山でエレクトロニクスチームのリーダーを担う仲辻健太郎(機能性材料事業本部 イノベーション戦略統括部)。仲辻は銀や銅などの電気を流す材料である「導電材料」において、次の時代の技術を実現する可能性を探索しています。

「もっとも導電性に優れ、長年使用されてきた金属は銀ですが、電子デバイス需要の拡大と昨今の不安定な世界情勢などの影響から、価格が歴史的な高騰をしています。そこで、銀に代替しうる材料として、銅の注目度が日に日に増してきました。銀に比べてコストを抑えられ、なおかつ高性能で使い勝手も良い。そんな銅を使った次世代の導電材料が求められています」(同)
また、新しい導電材料が求められるもう一つの背景として挙げられるのが、電子デバイスの急速な進化。「高出力化、小型・薄型化、多機能化」により、従来の材料だけでは市場が求める性能やスペックを満たしきれなくなっている、と仲辻は指摘します。
「たとえば、AI半導体など消費電力の高いチップが搭載され、部品が小型化・高密度実装されると、高い熱が発生することが基板設計において課題とされています。発熱量が上がると、信頼性やチップの性能が低下してしまうため、基板を通じてチップを駆動するための高い電流と放熱性を満たすような解決策が重要になってきます。
この問題を解決するためには、新たな導電材料を開発するだけでは不十分。その素材と高い加工技術を掛け合わせた革新的な基板を生み出し、新たな素材によってどのような価値があるか実際の製品として市場に示していく必要があるのではないかと考えました」(同)
そこで住友金属鉱山では、基板メーカーであるグループ会社の伸光製作所と“共創”を開始。素材メーカーである住友金属鉱山が開発した「次世代の導電材料」と、伸光製作所が持つ「優れた精密加工技術」を掛け合わせた、これまでにない新しい基板の開発を進めています。

今回の「ネプコンジャパン」共同ブースでは、「素材×技術共創で実現!電子デバイスの多機能・高性能化ソリューション」をテーマに、2社共創による取り組みを発信。幅広い分野の開発課題解決に貢献する可能性を秘めた、最新素材と加工技術が紹介されました。

まず、最新素材の展示スペースでは、住友金属鉱山が開発した「耐酸化ナノ銅粉」、「金属錯体導電性ペースト(MODペースト)」、「銅張積層板(FCCL)」といった次世代の導電材料を紹介。高騰する銀に代わる新しい選択肢を模索する、さまざまな企業の開発担当者様が足を止めていました。
耐酸化ナノ銅粉とは、粒径100nm(ナノメートル)、あるいは200nmという非常に微細な銅粉で、半導体チップと基板を接合するための材料や樹脂基板上への導電材料としての活用を見込んでいます。

「銅の粉の大きさを微小なサイズにすることにより、200℃前後の低温で焼結させられるため、たとえば従来のはんだなどの接合材として使用されていた用途に対して、同じプロセスを経ることで高性能化を図ることができます。なお、銅は銀に比べて酸化しやすい弱点がありましたが、住友金属鉱山ではこれまでに培ってきた金属粉末の合成技術を駆使し、微細な粉でありながら優れた対酸化性を実現しました。銅の弱点を克服しつつ、素材のポテンシャルを引き出しています」(仲辻)
そして、この銅粉を活用し開発されたのがMODペースト。 銅粉と金属媒体インクを組み合わせたプリンテッドエレクトロニクス(※)向けの新しい導電材料です。
※プリンテッドエレクトロニクス……金属膜を必要な箇所にのみ印刷(導電性インクやペーストを塗布)して電子回路を形成する技術のこと

「私たちのMODペーストは、従来の樹脂などを使用したペーストと比較しても高い導電率を誇っています。また、印刷という方式を使うことで、蛇行状の電子回路を作れたり、3Dの立体成形物に対しても印刷によって配線を形成できることが期待できます。ウェアラブルデバイス、センサーデバイスなど、幅広い用途での活用が期待できます」(同)
住友金属鉱山の銅張積層板(FCCL)は、有機樹脂フィルムに銅を積層したフレキシブル基板用材料です。その特徴は業界でも群を抜く「界面の平滑性」、つまり非常に凸凹が少ないこと。なおかつ「薄く、均一」であること。さらには、「微細な配線形成が可能」であることが挙げられます。
開発担当者の一人である松井弘貴(機能性材料事業本部 デバイス材料事業部 テープ材料部 営業チーム)は、次のように語ります。
「この新しいFCCLを活用する最大のメリットは、配線の幅を非常に小さく細かくできるため、製品の小型・薄型化が可能になる点です。また、透明樹脂フィルムとの相性も抜群。目視では銅を積層していることがまったくわからないくらい透明性が高いため、たとえば自動車のフロントガラスに貼るヒーターなどに活用することも可能です」
ほかにも、お客様の開発目的に合わせてさまざまな樹脂フィルムを選択できるため、アイデア次第で、これまでには想像もつかなかったような用途への展開も可能になるとか。
「来場者様からも『こんなのあるんだ!』と驚きの声をいただいています。我々としても素材をお渡しして終わりではなく、お客様との“共創”により新しい用途を発見していきたい。そのうえで、お客様が要望される特性を持つFCCLをデザインしていきたいと考えています」(松井)
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これら住友金属鉱山の新素材を最大限に輝かせるのが、高精度・高密度プリント基板(PWB)の独自加工技術を持つ伸光製作所です。
「プリント基板と聞いて多くの方がイメージされるのは、緑色の平板に電気を通す配線が施されたものだと思います。伸光製作所ではそうした一般的な基板だけではなく、独自の加工技術を駆使した特徴的なプリント基板を作ってきました」
こう話すのは、伸光製作所の高木義和(営業部 営業三課 課長)。同社では「キャビティ基板」や「セミフレックス基板」など、電子デバイスのさまざまな製造課題に対応する製品づくりに取り組んでいます。
「キャビティとは『穴』や『へこみ』のことで、立体的な構造を持つプリント基板です。通常の平らな基板の場合、隣り合う部品同士が干渉してノイズを起こしてしまうことがあるのですが、キャビティ基板は段差があるため、部品同士の間に壁ができて干渉を防ぎます。近い場所に多くの部品を配置でき、製品の小型化、高密度化が可能になるんです」(高木)

「セミフレックス基板はさらにユニークです。基板の一部を薄く加工して“折り曲げ”を可能にしたもので、設計自由度がとても高くなっています。コネクタや配線ケーブルがなくても複雑なレイアウトに対応できるため、成形・組み立ての工数削減、搭載部品の削減・低コスト化を実現します」(同)
もう一つ、伸光製作所の技術力の高さを示すのが「薄型ブラスト加工基板」です。独自のブラスト加工技術を用いることで、既存のドリル・レーザー・ルーターの限界を超える超微細な加工を可能にしています。

「プリント基板に電気を通すための穴を開けるのですが、一般的なレーザー加工では小径穴φ50μm(マイクロメートル)が加工限界と言われています。我々のブラスト加工技術では小径穴φ40μmという、髪の毛1本すら通らない穴を開けることができるんです。穴を小さくできれば基板の面積も小さくなって製品の小型化につながりますし、高密度化によって性能を向上させることも可能になります」(同)
今回の共同展示では、住友金属鉱山のFCCLやMODペーストと、伸光製作所のプリント基板を掛け合わせた事例も紹介されました。いずれも開発中の技術ですが、ものづくりの未来を大きく変える可能性を秘めています。
「住友金属鉱山のような材料メーカーはエンドユーザーまで距離があり、これまでは提供した材料がどう形になるのかイメージしづらいところがありました。また、材料単体では複雑化・高度化するものづくりの課題に対応できなくなっていることも事実です。
課題を解決できる新しいソリューションを生み出すには、異なる知見を持つパートナーのフィードバックを受けながら技術を構築していくアプローチが欠かせません」(仲辻)
“共創”の目的は、お互いの長所を引き出し合うことで、単体で活用するよりも大きな価値を生むこと。たとえば、FCCLとキャビティ基板を掛け合わせた「ハイブリッド基板」。高機能なFCCL(スパッタ材)を多層基板に内蔵することで、新たな高機能製品の開発に貢献することができます。
また、MODペーストを活用した「プリンテッド基板」は、フレキシブルな配線実現による高付加価値商品の開発に貢献するとともに、原料の省資源化による環境負荷軽減も実現できる技術です。どちらも“共創”でしか実現できない高い付加価値を持つ基板であり、まさに素材と加工技術の融合といえます。

2社による“共創”は、住友金属鉱山が掲げる「X-MINING(クロスマイニング)」を体現する取り組みです。X-MININGは、当社の製品技術と他社が持つアイデアをクロス(共創)させ、社会にインパクトを与える新たな価値を掘り起こすことを意味します。
「今回はグループ内での“共創”でしたが、今後はあらゆる企業の方々とクロスし、課題を解決する新しい技術を創出していきたいと考えています。今回のネプコンジャパン出展は、いわばその決意表明でもある。紹介した技術をベースに、ともに新たな価値を生み出していけるパートナーさんと出会うためにも、まずは我々の取り組みを多くの方に知っていただきたいですね」(仲辻)
今回のネプコンジャパンでは、未来のパートナーになり得る多くの来場者の方との出会いがありました。3日間、展示ブースにて対応した仲辻は、今後の新しい展開に向けて大いに手応えを感じたと言います。
「電子基板業界では現状、非効率かつ環境負荷の高いプロセスが根付いてしまっています。ただ、来場された開発担当者様の多くが、それを変えていきたいという思いを持たれているように感じました。そうした方々とパートナーシップを組み、お互いに必要なリソースを持ち寄って新しいプロセスを作っていきたいと考えています」

松井も、「少しでもご興味を持っていただけたら、ぜひ気軽にお問い合わせいただきたいです」と語ります。
「具体的な“共創”のご提案でなくても構いません。私たちの技術に対する質問や疑問、お悩み相談など、本当に何でもいいのでお声がけいただきたいですね。住友金属鉱山は名前からして“お堅い会社”と思われがちですが、じつは意外と柔軟です(笑)。あらゆる業界の方々に門戸を開き、一緒に新しい価値を作っていきたいと思います」
まずはグループ内の“共創”事例を紹介し、X-MININGの可能性を示した今回の共同出展。今後、さまざまな異業種とクロスすることで、素材や技術の可能性はさらに広がっていくはず。そんなパートナーと出会えることが、今から楽しみでなりません。

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【取材者プロフィール】
住友金属鉱山(株) 機能性材料事業本部 イノベーション戦略統括部 グローバルマーケティングG エレクトロニクスチームリーダー
仲辻 健太郎

住友金属鉱山(株) 機能性材料事業本部 デバイス材料事業部 テープ材料部 営業チーム
松井 弘貴

(株)伸光製作所 営業部営業三課 課長
高木 義和

X-MININGのイノベーションの
起点となる
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