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X-TALK(クロストーク) Special Contents X-TALK

粉体材料事業部の新たな可能性を広げるプロジェクト「X-MINING(クロスマイニング)」
その立ち上げの経緯や想い、目指すべき未来について、プロジェクトの中核を担う2人が語り合いました。

対談者プロフィール・メッセージ

佐伯 典之

東福 淳司

スタートのきっかけは「危機感」

X-MININGはどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

佐伯 2019年7月に今の職に就き、粉体材料事業部には新しいものを生み出す、あるいは挑戦する気概が感じられないことに驚きました。今までと同じことを続けていれば今後も安泰だろうという楽観的な意識が部内に蔓延していたのです。

何かを変えなければいけないと考える中、粉体材料のラインアップの中で大きな可能性を感じたのが「CWO®」というインク材料でした。その開発に携わっていたのが東福さんです。東福さんは非常にユニークかつアグレッシブな発想を持ってインク材料の商品開発を推進しているのでその発想をCWO®だけではなく他の製品にも活かしてもらえれば、粉体材料事業部は生まれ変われるのではないか。そして今までできなかったような新しいことが実現できるのではないかと考え、東福さんに新たにチームを作って欲しいと提案したのです。

東福 私が佐伯さんと初めて会ったのは10年近く前、社内のあるプロジェクトに一緒に参加した時でした。見た目はこのとおり、いつもニコニコとっても温和な印象ですよね。でも実は、自分が「こうだ」と思ったことは一心に貫く、大変頑固な方なんですよ(笑)。革新や変化、リスクに挑戦することを身上とされる。でも、けっして集権的ではなくて、柔軟で分権的な方法を好まれます。だから、どんな状況でもフレキシブルでフラットな姿勢は崩されないですね。そんな方だからこそ、「いつか、この人と組んでみたい」と思っていました。

佐伯 私はどちらかというとルールを徹底的に守る、非常に固い人間ですよ(笑)。でも今回は、固定観念や慣習に囚われていてはならないと危機的に感じたということです。時代の流れがますます変わっていく中、同じことをこのまま10年続けたらジリ貧になるのは間違いない。誰かが動いて結果を出さなければいけないタイミングだったのだと思います。幸いにも上司に恵まれ背中を押していただき、また、会社も我々の考えや想いに共感し、承諾してくれました。

 

もはや、一企業だけで利益を独占できる時代ではない

X-MININGの理念である「独創から共創へ」という言葉にはどのような想いが込められているのでしょうか。

東福 先ほど話に出た「CWO®」というインク材料は、太陽光に含まれる近赤外線という光だけをカットする性質を持っています。近赤外線は熱を持つ光なので、たとえば窓ガラスにCWO®を用いれば、明るさを保ちながら室温の上昇を防ぐことができます。
このCWO®は、多くの論文を発表し世界的にも高い評価を得ている当社の個性豊かな研究者が開発したもので、材料の会社として歴史を積み上げてきた住友金属鉱山が世界に誇るべき非常に優れた技術。いわば「独創」の産物です。しかし、せっかく研究者がイノベーションにつながる成果を出しても、それが商品化されなかったり、売れる商品にならなかったり、という事は往々にして起こりえます。アイデアや技術、それを商品として完成させるというのは異なるスキルなわけです。言い換えれば、イノベーション自体は内部でも起きるが、イノベーションを市場価値に転換する「バリューキャプチャー」になるか否かは外部との接触による、ということでしょうか。X-MININGで実現したいのは正にこの点です。
大量生産、大量消費の時代が終わりを迎える中、欲しいものを欲しい人に広く届けるためには、グローバルバリューチェーンを見据えた新しい事業を構築しなければいけません。もはや、一企業だけで価値を独占し利益を上げるような時代ではなく、企業、大学、NPO、政府なども含めた大きなビジネスの枠組みで、「共創」する必要がある。そういう考えを佐伯さんと共有できたことで、「独創から共創へ」という言葉がコンセプトとして定まっていきました。
ただ、私は奔放な性格で、すぐに行動に移してしまうので、社内的なコンセンサスを取る佐伯さんは“尻拭い”が大変(笑)。

佐伯 いやいや。だって、今その話を聞いているだけでもすごくおもしろそうじゃないですか。それに、大変だなんて言っていたら会社はいつまでも変われませんからね。
無から有を生み出すことはできませんが、既に存在するものの有効活用は可能です。素材でいうと、素材をどの角度から見るかが重要です。見る角度によっては、これまで無益であったものが有益となります。当社の素材を世界中のできるだけたくさんの人に、いろいろなの角度から見てもらい、一緒に新しい価値を創造し、世の中に貢献したいという想いがあります。

 

「資源から材料」まで扱う会社として社会のためにできること

東福 佐伯さんがそこまで頑張れる、その原動力を知りたいです。

佐伯 新しいものを作りたいという思いが強いですし、この会社で生み出したものが社会に役立ち、それによってみなさんが幸せになり、働いている仲間が喜びを味わえる、そういうことを実現したいという気持ちが少なからず私の中にあるのだと思います。

東福 確かに、社会貢献への意識は当社社員には強くあります。特に材料事業では環境に対する影響を、事業を通してプラスに変えていく義務があるのでは、という考えが私の中にあります。

佐伯 当社社員はみな少なからずそうした意識を心に持っていると私も思います。それをX-MININGによってさらに実現したいです。

東福 実際におもしろい取り組みもいくつか始まっています。まだ検討中のものや、進行中のものですので具体的な名称を出したり、X-MININGで詳細を語ったりすることができないのが残念なのですけれど。

佐伯 たとえば、いま東福さんがやっている農業の取り組みなどもその一つですよね。

東福 そうですね。ビニールハウスにCWO®を使い、近赤外線をカットしつつ光合成に必要なパーライトと呼ばれる光源を通してあげることで、ハウス内が高温になって植物が枯れたり、作業する人が熱中症になってしまったりすることを避けながら作物の収穫量を上げるという実証試験を重ねています。
海外の主流の大規模企業農園等では、グリーンハウス(温室)内の空調を厳密に制御するために多大な電力を消費しており、結果的にGHG(Green House Gas:温室効果ガス)を排出していることになります。その点、CWO®を使えば環境負荷をかけず、インフラ整備が乏しい新興国でも安価にハウス内温度を制御できる。これは、当社グループが掲げる「2030年のありたい姿」で挙げる重要課題の一つ、「気候変動」での目標に係ることでもあるのです。

イノベーションは融合からのみ生まれるもの

東福 鉱山の世界には「千三つ(せんみつ)」という言葉があります。1000回の試掘で着脈3本という意味ですが、X-MININGもそれと同じかなと思っています。取り組みとして実るかどうかは別にして、多くの方々からヒントをいただき、一緒にテーマを見つけ取り組んでいくことがまずは大事だと感じています。

佐伯 そう。当社が持っている材料や技術はまだまだ世の中にお知らせできていないと感じているので、そうしたものをX-MININGを通してオープンにすることで、我々が想像もしなかったような声やアイディアをどんどんいただきたい。もしかしたらそれが社会的にとても大きな問題の解決につながるかもしれないですし、我々の発想だけでは生まれ得ない価値をX-MININGによって生み出していけたらいいですね。

東福 そうですね。私は、イノベーションは融合から起こるのだと固く信じていますので、入社以来研究に関わってきた者として、社会にインパクトを与えるような、みなさんがあっと驚くような融合を、他の企業や組織のみなさんとぜひ創ってみたいです。

 

最後に、これからパートナーとなりうる方々にメッセージをお願いします。

東福 一言で言えば「鉱山会社と一緒に仕事してみませんか?」ということです。業種は問いません、規模も問いません、国籍も問いません、即ビジネスにならなくてもかまいません。みなさんの会社が原料ソースを担う企業として日本有数の歴史を持つ鉱山会社と組んだらどういう未来が作れると思いますか? ワクワクしませんか? ということをぜひ伝えたいです。

佐伯 私もまったく同じ想いです。付け加えるとすれば、いつかはこのウェブサイトを、いろいろな人や企業を、材料を通して結び付けるプラットフォームのような存在にできればと思っています。そのためにも、東福さんやプロジェクトの仲間と協力しながら、まずは小さなアイディアの種を丁寧に拾っていきたいと思っています。

 

 

 

※2020年9月取材

※取材はソーシャルディスタンスを保ち、撮影時のみマスクを外し実施いたしました。