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X-TALK Vol.6 【Part 1】 希土類(レアアース)の価格推移とサマリウム鉄窒素磁石材料

希土類(レアアース)の価格推移とサマリウム鉄窒素磁石材料

住友金属鉱山が40数年にわたり研究開発を重ね製造している磁石材料「Wellmax®」。その中でもサマリウム鉄窒素磁石は、電気自動車(EV)の普及を始めとするさまざまな分野で電動化、小型化が進む中、新たな磁石材料として注目を集めています。
非鉄金属の商社であり、希土類(レアアース)の取り扱いも豊富なアルコニックス株式会社 執行役員 電子・機能材本部本部長の木山茂様と、住友金属鉱山株式会社 機能性材料事業本部 粉体材料事業部長の佐伯典之が、これまでの希土類(レアアース)の価格推移とサマリウム鉄窒素磁石材料の可能性について語りました。その前編です。

対談者プロフィール

アルコニックスと住友金属鉱山の関係性

はじめに、アルコニックスと住友金属鉱山はどのような関係ですか?

木山

アルコニックスは非鉄金属の商社として活動しています。住友金属鉱山とは、特にニッケルや銅の取り扱いにおいて以前からさまざまな形でご一緒させていただいてきました。社名は、アルミの「AL」、銅の「CO」、ニッケルの「NI」を組み合わせた言葉で、最後の「X」は未来へのエクステンションを指していますので、まさに「X-MINING」に似た意味を持つ会社といってもよいかもしれません。

ネオジムの価格高騰に代わる磁石材料として期待されるサマリウム鉄窒素磁石材料

なぜ住友金属鉱山社内でサマリウム鉄窒素磁石材料の販路拡大が重視されたのですか?

佐伯

当社のサマリウム磁石材料の開発の歴史は非常に長く、サマリウムコバルト磁石に始まり現在のサマリウム鉄窒素磁石材料へと続いています。今は製造していませんがこの間に磁石成形体の製造販売も行っており、原料から成形体までの技術はもうしっかりと積み上げられています。一方で、グローバル市場に対しては十分なアピールができていませんでした。

今、価格推移に大きな変動が見られるネオジム磁石に代わるものとして、サマリウム鉄窒素磁石に期待が集まっており、当社が手がけるサマリウム鉄窒素磁石[以下、SFN(エスエフエヌ)]も広く知って貰うチャンスと捉えています。

住友金属鉱山のサマリウム鉄窒素磁石素材料住友金属鉱山のサマリウム鉄窒素磁石材料

サマリウムはネオジムと比較し、安定した価格推移で供給量も豊富

ネオジム磁石の価格推移が不安定な背景と、それに代わるサマリウム磁石材料の優位性について教えてください。

木山

希土類は、中国語では「稀な土」と書きます。その名前から「あまり採れない材料」と思われがちなのですが、地球上に現存する量はまだそれなりにあります。一方、経済的に成り立つ状態で採掘されている地域は非常に限られており、中国に多く存在します。

希土類には、17の元素が一つの鉱石の中に凝縮されています。そのなかでも含有量の比較的高いネオジムは磁石の材料として長く使われてきましたが、近年、将来的なネオジムの不足が懸念されています。そこで注目されているのが、同じく希土類に含まれるサマリウムという元素です。17の元素のなかでサマリウムとネオジムはいずれも磁石材料として使われています。

先ほどお話しした通り希土類は供給地が限られることから、需要と供給のバランスがその価格に大きく影響を及ぼすことがあります。とりわけネオジムやジスプロシウムといったネオジム鉄ボロン磁石で使われている元素の価格は2021年から上昇傾向にあります。

ネオジム(Nd)ネオジム(Nd)

木山

確かに2010年の尖閣諸島問題のあとで希土類の輸入が制限された際にはそうした動きがあり、ここ1~2年もそのような投機的な動きがゼロだったわけではありませんが、尖閣問題の頃に比べると相当少ないと見ています。

ネオジム(Nd)とサマリウム(Sm)の価格推移ネオジム(Nd)とサマリウム(Sm)の価格推移

中国はかつて希土類(レアアース)の輸出国だったわけですが、近年はEVや風力発電を推進する世界有数の需要国でもあります。このため、希土類(レアアース)の価格の極端な乱高下はこれらを推進する上では中国にとっても好ましくない状況であると思います。

佐伯

今は実際の需要に純粋に引っ張られて価格が上がっているということですよね。

木山

その通りです。やはり実際の需要が引っ張っているところが非常に大きいと思います。ある意味健全ですね。ただし、世界情勢の変化によってはまた違う展開になってくるので、実需によらない価格変動の可能性も今後もゼロではありません。

その中、サマリウム磁石は他の元素よりも比較的落ち着いた価格推移を見せています。また、これまで磁石以外の用途でもあまり使われてこなかったことからネオジム磁石のように資源が足りなくなるようなことも起きづらいと考えられています。これらのことを総合すると、サマリウム鉄窒素磁石材料には大きな可能性が秘められているといえると思います。

※ネオジムをはじめとした希土類(レアアース)の具体的な価格推移については、当サイト事例紹介ページをご覧ください。
リスクが少ない希土類磁石はないのか?

価格が不安定・高騰するネオジム磁石を使い続けることはメーカーにとっても負担に

佐伯

ネオジム磁石が不足するとされるようになった背景にあるのは、EVの飛躍的な普及ですよね。

木山

はい。EVは2030年には今の約5倍の台数になるといわれています。(参照:Global Electric Vehicle Outlook 2022 (windows.net))この予想どおり台数が増えていけば、当然ながらそれを動かすためのモーターに使われるネオジム磁石の量も増えていきます。それに備えて、できるだけネオジム磁石を使わないようにしようという研究も進んできているということです。

佐伯

ニッケルや銅といったベースメタルでさえ価格が変動する中、さらに価格が不安定・高騰しているネオジム磁石を使うことは、ユーザーにとっても負担になると思います。我々は日頃から事業を通して社会にどう貢献できるかを模索していますが、EVにおいても我々が持つ材料を活かせないかと考えています。SFNはまさにその貢献を果たすものであり、この可能性を世界に向けて発信してネオジム磁石に代わるものとして認知を広げていければと考えています。

※本対談で紹介している当社SFN材料の詳細については製品ページをご覧ください。
希土類磁石材料の製品ページはこちら

※2022年8月取材
※取材は事前の検温、手指の消毒、換気の実施やソーシャルディスタンスを保つなど感染症を対策して行い、撮影時のみマスクを外しました。

【後編】
モーターをはじめとする磁石材料の用途と、サマリウム鉄窒素磁石材料の可能性

モーターをはじめとした希土類磁石の用途については、「【後編】モーターをはじめとする磁石材料の用途と、サマリウム鉄窒素磁石材料の可能性」でご紹介しています。

MATERIALS ストーリーに関連する製品紹介

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