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X-TALK Vol.11 【Part 2】 産学連携とサプライチェーンの構築で、給電型センシングデバイスを社会実装へ。

橋梁の強度を測定する給電型センシングデバイスの研究・開発で共創を続ける関西大学と住友金属鉱山のX-TALK。【Part 2】では、両者の関係から産学連携の可能性を語り合いつつ、小金沢教授の今後の研究ビジョンについても話を聞きました。 給電型センシングデバイスと鉄ガリウム磁歪合金単結晶の関係性については【Part1】で紹介をしております。
【Part1】を見る

対談者プロフィール

(Part1 からつづく)

多様な組織が集まるほど実装の可能性は高まる

――小金沢先生は民間企業での研究経験も豊富ですが、産学連携の取り組みのメリットや重要性をどのように感じていますか?

小金沢 人間の行動心理において、単独で行動しているものには見向きもしないのに、集団で行動しているものにはつい気を取られる、といったことはよくあると思います。産学連携はまさにその構図と一緒ではないでしょうか。社会との接点を考えたとき、まだ誰も興味を示していない研究を大学だけで重ねるよりは、さまざまな組織から人が集まって一緒に研究をしたほうが、興味を持ってもらえる可能性は高まるはずです。その興味から社会実装の種がまかれていくことも大いにあり得るでしょう。そうしたところに産学連携の醍醐味があると私は思っています。

なかには教授が書いた論文に興味を持って大学の門を叩く人もいますから、大学単独で研究に励むことを否定するわけではありませんが、特に私がいま扱っているテーマは早期の社会実装が求められるものですから、より速く、より広く認知されなければいけません。その意味でも産学連携は効果的な取り組みだと思っています。

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高橋 「産」の立場で言うと、研究所内だけで材料の開発をしていては、その価値を客観的に判断するのは難しいと思っています。私たちが開発した材料が、小金沢先生のような研究に活用され、その結果を共有していただければ、材料の特性をもっと高めていこうというモチベーションにもなりますし、研究所では得られない幅広い知見を得ることにもつながります。私にとっては二重に勉強をさせていただいているような感覚です。

私が入社した頃は、産学連携はもちろん、企業間の共同研究もほとんどありませんでした。研究の成果を他社に提供することなどあり得ない話で、閉鎖的に研究に没頭していた時代です。しかし、それで何かが起こせるかというと、その可能性は低い。むしろ、開発のスピードが上がらなかったり、もたもたしているうちに他社が先に開発に成功してしまったり。そんな状況をずっと見てきました。今は時代が変わりましたね。

小金沢 私の研究室も、おかげさまで民間企業から共同研究のお話をいただくことがしばしばあります。私自身がかつて民間企業にいたこともありますので、大学だけで研究を続けることとは違う価値が産学連携にはあることを実感しています。

今は、教わるべきところは教えてもらい、教えるべきところは教える共創の時代です。持ちつ持たれつの関係で社外知を得ることが、今後ますます必要になってくるのだと思います。

2020年代中のビジネス化に向け実証データの蓄積へ

――交通インフラの耐久年数の問題に人材不足も重なり、小金沢先生の研究ニーズはこれからさらに広まっていくと思います。給電型センシングデバイスが今後どのように広がっていくことを期待していますか?

小金沢 私たちのプロジェクトには国土交通省も参画していますが、国が社会課題として交通インフラの耐久年数問題を認識しているということが、まずは非常に大きなことだと思っています。日本人はスロースターターなので、誰かが何かを開発し、その有効性に気づく人が増え、社会実装されることでようやく「うちでもやってみようか」となっていくのではないかと思いますが、ひとたびニーズにマッチできるものを提供できれば、あとはドミノのように一気にバタバタと広がっていくものと期待しています。

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高橋 目標として、いつ頃までに社会実装を実現したいとお考えですか?

小金沢 国土交通省とのプロジェクトが続く2027年までにある程度のデータをクラウドに集め、そのデータをもとにまずは分析を重ねたいと思っています。今後、前橋市や広島市、和歌山県の阪和自動車道など、全国各地の橋梁にセンシングデバイスを置かせていただくことになっていますし、今後も協力していただける場所は増える予定です。

そこから得られるデータを着実にクラウドに集め、センシングデバイスの有効性を実証して、ドミノを倒していきたい。そのうえで、2028年~2029年頃までにはビジネス化できればと考えています。

橋梁のセンシングデバイイスがインフラになるのがゴール

――ビジネス化に際しては、サプライチェーンの構築も重要になるかと思います。その関係作りにおいて行動されていることはありますか?

小金沢 少しずつですが、関係作りも進んできています。モジュールの設計・開発をする会社を中心に複数の企業と連携し、さまざまなコミュニケーションを重ねながら社会実装への歩みを進めています。

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当社はシステムまで開発する会社ではなく、ご協力できるのは磁歪材料のご提供までですが、それだけで役割を果たせているとは思っていません。当社の材料を使ったデバイスのニーズがどこにあるのかも常に調べています。先生にはデバイスの研究やデータの解析に集中していただきつつ、我々は我々で材料側に近いところのサプライチェーンを構築して、それぞれのサプライチェーンが交わり合うような動きが取れればと思っています。

高橋 先ほど先生が「社会実装されればみんな追随する」とおっしゃっていましたが、私も展示会などでお客様とお話をしているなかで「これって既に実用化されているの?」と聞かれることがよくあるので、まさにその通りだなと思っています。私たちも、材料の観点から少しでも早い社会実装のためのお手伝いしていきたいですし、自分で発電できるセンサーという技術自体が非常に魅力的なので、当社側からも先生の研究の有効性や魅力を紹介し、少しでもお力になれたらと思っています。

小金沢 ありがとうございます。私は、ゆくゆくは橋の支承のなかにセンサーを入れてしまいたいと思っているんです。そのためには支承メーカーとの連携も必要になりますが、サプライチェーンを構築するなかで、そうした土木技術を扱う企業との連携も必要になってくるでしょう。それを実現し、将来的には給電型センシングデバイスがインフラの一部として認知されること。それが一つのゴールだと考えています。

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本対談でご紹介した当社のFe-Ga磁歪材料の詳細はこちら
住友金属鉱山のFe-Ga磁歪合金単結晶

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「X-MINING(クロスマイニング)」は、住友金属鉱山のDNAのもとに新たに始まる、未来を見据えた新しい共創のかたちです。
日本を代表する資源製錬会社の一つ住友金属鉱山には、積み上げた独自の技術と素材力があります。その技術や素材力も今や私たちの手の中でのみ守り育てる時代ではなくなりました。ならば、それらを有効に活用しイノベーションを実現するにはどうすべきか。その答えを共に探すパートナーと技術の創出や課題の解決に取り組むプロジェクトが「X-MINING(クロスマイニング)」です。

本ウェブサイトでは、材料の機能や技術、SDGsに貢献するソリューション事例など幅広く紹介します。当社製品と皆様のアイデアを”共創"(クロス)させ、社会にインパクトを与える新たな価値を“掘り起こすこと”(マイニング)を目指します。

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