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X-TALK Vol.8 【Part 3】 銅の可能性を高めるためにクリアすべきこととは

銅の可能性を高めるためにクリアすべきこととは

住友金属鉱山の歴史は銅の精錬から始まり、創業から430年以上を経た現在も粉体材料としての銅の新たな可能性に挑み続けています。そのなかで近年着目しているのが、銅がもつ高い抗菌活性です。 銅の抗菌性を長年研究されている北里大学医学部の笹原武志先生を訪ねるX-TALK。今後、銅の可能性をどのように医療現場に、そして社会に活かしてゆくのか。SDGsにもつながる大きなテーマのもと、Vol.3のトークが始まります。

対談者プロフィール

SDGsの取り組みにも貢献する銅の研究

仲辻

笹原先生の活動は、北里環境科学センターのWebサイトでも、SDGsの取り組みとして紹介されています。北里環境科学センターとはどういった組織なのでしょうか。

植竹

最先端の知識や科学技術をもとに環境問題の改善と予防医学に資する事業を通じ、その成果を社会に還元することで、健全な生活環境、の創造に寄与することを目的とした組織です。
センターでは今、学術関連事業やセンターが培った知識・経験について未来を担う子供たちに伝えることで、SDGsに絡めた展開ができればと考えています。まずは昨年度、SDGsパートナーとして神奈川県と相模原市のパートナーシップに登録しました。

仲辻

持続可能な社会の実現において、銅の研究をどのように結び付けていかれるのでしょうか。

植竹

センターでは、人々の生活において重要となる環境保全、また感染制御に関する試験体制の強化を図っています。
環境保全とは、地球上の自然環境や生態系を保護して持続可能な状態を維持するための取り組みのことです。具体的には、安心安全な水を利用いただくために、当センターでは水道法などのさまざまな条例に基づく検査や、役所や自治体に提示する検査、保健所に求められる検査など、あらゆる水質検査に精通しています。一方、感染制御というのは、環境面からの改善により感染症を低減させることを指しています。
当センターでは「環境ドック」という構想を推奨しています。人間ドックのような形で事業活動から発生する微生物や有害物質を継続的に試験検査し、あらかじめ予防を行う活動で、市民のみなさんの健全な生活環境を創造することを目指して活動しています。そうした予防の活動において、銅の研究とその成果が活かせると考えています。

銅の可能性を高めるためにクリアすべきこととは

仲辻

銅にまつわるさまざまな研究を続けられる中、コロナ禍の混乱を越え、ようやくアフターコロナといえる時代となりました。この流れのなか、銅を取り巻く状況にも変化はありましたか?

小澤

コロナ禍以前からさまざまな活動をしてはいたものの、まだまだPRが足りないところがありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレビなどのメディアで銅の抗菌効果が報道されて以降、当センターのWebサイトのアクセスは大きく増加しました。一般の方々からのお問い合わせも増えましたし、講演会の依頼も多くいただくようになりました。銅を使ったアイデア性の高い商品の開発も進んでいます。感染拡大が、奇しくも銅の抗菌性を知らしめるきっかけになったのだと思います。

笹原

とはいえ、銅製品はまだまだ市販されている製品が少ない状況です。銅の価格帯はもともと高く、新製品開発における一つのネックとなっていましたが、近年さらに価格は高騰し、メーカーさんにとっては、たとえアイデアがあったとしてもなかなか試作品を作るのが難しい状況ではないかと思います。

一方、蒸着やスパッタリングといった加工を手がける事業者が少ないことも課題の一つです。そうした体制がクリアしていければ、銅の可能性はますます広がるのではないかと思っています。

粉体材料としての銅の存在に期待

仲辻

当社では、非常に特徴的なサブミクロンの銅紛の用途展開や、高精度な銅のスパッタリングの技術を活かした新たな可能性を探る用途開発を行っています。

笹原

銅粉体という材料は、加工性という観点で非常に使いやすいものだろうと思っています。タッチパネルなどの塗工などの用途でうまくいけば銅粉体をさまざまな場面に活用できるようになるはずで、展開性という意味で非常に有益な素材の一つになりうるのではないでしょうか。私たちの研究活動においてもぜひ着目していきたいと思います。

小澤

私たちは、コロナ禍によってあらためて、公衆衛生において銅が果たすべき役割の大きさを実感しました。最近ではコロナに代わって循環ろ過式の入浴施設のお湯を感染源とするレジオネラ菌のニュースが増えていますが、どういった菌やウイルスが猛威を振るおうとも効果を発揮する銅をいかに製品として皆様のもとにお届けできるか、その可能性について、また笹原先生と一緒に研究を続けられたらと思っています。

仲辻

今日は長きにわたる研究の成果の一端を知ることができ、大変勉強になりました。また、銅が細菌、ウイルス、真菌などあらゆる分野で使える非常に優れた金属元素であることをあらためて実感しました。

X-MININGでは共にイノベーションを起こす共創パートナーの探索も行っており、製品開発や研究などX-MININGの目指す「未来を見据えた新しい共創」のエピソードや想いを対談形式で他にもご紹介しています。
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ぜひ今後の研究や開発の一環として我々との共創をご検討いただければと思います。

ありがとうございました。

X-MININGとは

「X-MINING(クロスマイニング)」は、住友金属鉱山のDNAのもとに新たに始まる、未来を見据えた新しい共創のかたちです。
日本を代表する資源製錬会社の一つ住友金属鉱山には、積み上げた独自の技術と素材力があります。その技術や素材力も今や私たちの手の中でのみ守り育てる時代ではなくなりました。ならば、それらを有効に活用しイノベーションを実現するにはどうすべきか。その答えを共に探すパートナーと技術の創出や課題の解決に取り組むプロジェクトが「X-MINING(クロスマイニング)」です。

本ウェブサイトでは、材料の機能や技術、SDGsに貢献するソリューション事例など幅広く紹介します。当社製品と皆様のアイデアを”共創"(クロス)させ、社会にインパクトを与える新たな価値を“掘り起こすこと”(マイニング)を目指します。

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