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金属粉末製造にも使用している「晶析」について

住友金属鉱山は、精錬事業を通じて、液相での多様な金属の取り扱いに関し豊富な経験を有しています。それら経験を活かし、液相法による無機粒子の合成を行っています。ここでは、「晶析」について簡単に概要と特徴を紹介いたします。

粒子合成法

粒子の製造には、一般的に塊を砕く(粉砕する)方法と作り出す(合成する)方法があります。合成する方法は気相法と液相法に大別されます。

液相法の特徴

液相法とは、液体(溶液)の中に粒子のもとになる物質を溶解させておき、溶液を蒸発するさせたり、冷却したり、反応させるなどの操作を加えることで、目的とする粒子を得る粒子合成法のことです。これらの操作のことを総称して「晶析」と呼びます。晶析は、操作の幅(=コントロールできる幅)が広く、結果として得られる粒子の形状や大きさ(=粒子径)を変えることができるという特徴があります。

晶析とは

当社住友金属鉱山が製造するニッケル(Ni)粒子や銅(Cu)粒子等は、液相法の中でも還元反応によって微粒子を合成する「反応晶析」と呼ばれる手法によって製造しています。

「微粒銅粉」の製品詳細を見る

図1 当社で製造しているニッケル粉

例えばニッケル粒子の場合、原料となるニッケル化合物と還元剤の反応によりニッケルの微粒子を製造していきますが、それら主要薬剤の他にいろいろな添加剤を入れ、反応条件(温度や薬剤を入れるタイミングなど)をコントロールすることで粒子の形状や大きさを変えていきます。

図2 液相反応のイメージ

晶析では一般的に、まず粒子生成の起点となる微小粒子(=核)を生成し、それを成長させていく過程を経ます。
ここで発生させる核の量が最終的な粒子の大きさを決める主な要因になります。また、成長のさせ方が粒子の形状や純度などの品質を決める主な要因です。

図3 反応進行(核生成⇒成長)のイメージ

核の発生方法にはいくつかの種類があり、例えばあらかじめ作っておいた核を添加する方法や反応初期に溶液内で核を生成させる方法などがあります。大切なことは均一に核を生成・成長させることです。例えば、均一な核をうまく作って投入しても、それが成長する前に溶けたり、互いにくっついたりすれば意味がありません。均一な核を作成した後、次の課題はそれらをどのように成長させるかです。目的とする粒子の形、大きさにするためにいろいろな条件を調整していきます。

イメージしやすい例として、食塩水を煮詰めて食塩の結晶を作る様子を思い浮かべてください。これ以上溶けない状態(=飽和溶液)にした食塩水に小さな四角い結晶を糸でつるして塩を作る理科の実験を行った経験はありませんか?この小さな結晶が核です。
その後、ゆっくり液を蒸発させる(=成長させる)と四角く大きい、きれいな塩の結晶になりますが、慌てて煮詰めてしまうと小さな粒の塊になってしまいます。この場合、成長条件(蒸発速度)の制御に失敗すると、意図しない結果が生じる可能性があります。 元の核とは異なる核が別の場所で生成されたためです。

以上は晶析に関する説明の導入ではありますが、さまざまな条件をコントロールする必要があることを解っていただけたでしょうか。つまり、条件次第でさまざまな粒子を得ることができることが液相法の特徴です。

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